お通夜よりさらに弔問客が多い。
昨日のお通夜に来ていただいた方もチラホラ。有難いことである。
妙齢の女性が一人で参列されていて、式の間中誰だか気になっていた。
この期に及んで修羅場は避けたい。
式が終わって挨拶をすると、その人は久しぶりに会う姉の友人だった。
彼女が中学生の頃から私もよく知っている。
お互い変わり果てた姿になりましたね。
霊柩車に棺桶を運ぶ為に集まる男性陣。
隣の息子が明らかにソワソワしている。
いいよ、行きたいなら行ってきな。
とたんに駆け出す息子。
たいした戦力にもなってないけど、父は喜んでいるだろう。
火葬を待つ間、従妹が伯父が亡くなった時の話をはじめる。
身体が大きく骨太だった伯父。
拾っても拾っても遺骨拾いが終わらない。
骨壺が満タンになってもまだある。
「これ、どうなるの ? 捨てられちゃうの ?」
コソコソと相談する伯母 & 姉妹。
ダメ ! 絶対 !
周囲の制止をふりきり、骨壺を追加し全ての遺骨を持ち帰ったそうである。
田舎の年寄りは分骨を嫌う。
骨壺2つに分けられた遺骨を見て激怒する本家の年寄り達。
いまだに顔を見れば言われるよ~、と笑っている。
姉 どうしよう。骨壺、追加した方がいいかしら ?
妹 うん、骨壺、ダブルで。
目と目で通じあう姉妹。
仲良し姉妹 (?) の間にわりこむ男、中間子の兄。
「何十年前の話だよ。カメラかセンサーがついてて
ちょうどいい位に焼きあがるようになってんだろ。
いまどきキッチンコンロだってセンサーついてんだから」
確かに、焼きあがったお骨は、ちょうど骨壺に収まる分量だった。
拾うお骨は1人1本。
その他は担当者が丁寧に骨壺に収めてくれる。
砕けた破片の粉、1粒1粒まで丁寧に集めて納めてくれる。
有難いことである。
斎場に戻り自家用車に荷物を積む。
骨壺を渡されトランクに並べようとして、
斎場の担当者に、手でお持ちくださいと言われる。
骨壺は壊れ物だ、パッキンもついていない、倒れたら困るものね。
「だめだろ~、遺骨を荷物と一緒に積もうとしちゃ~」
背後から兄がクスクス笑いながら言う。
ハッ !
失礼致しました、父上殿。
今日はお清めの塩の話題にも触れず帰宅。
葬儀の最中からときおり、子どもが「お母さん大丈夫 ?」と聞いてくる。
何も考えていない瞬間に声をかけてくる。私は泣いていないのに。
「じぃちゃん、やっと帰ってこられたね」と子どもが言う。
「ここにいるのかな。見てるかな」
やっと身軽になれたから、喜んでお出かけしてるかもね。
田舎の海でも見てるよ、きっと。
子どもは少し不満そうだった。
じぃちゃんも生れた時からじぃちゃんだった訳じゃないからね。
いろいろ行かなきゃいけないところも、会いたい人もいるでしょ。
すぐ帰ってくるよ。