どんぐり

うちの前に公園がある。それはそれは緑あふれる公園が。

春や秋など気候のよい季節には、平日は毎日のように

保育園や幼稚園の子ども達がこぞってお散歩にやってくる。

大変にぎやか。生命力のかたまり。よい。

 

土日は入れ代わり立ち代わり、イクメン & ちびっこの組合せ。

「見てごら~ん、トトロのどんぐりだよ~」パパの大声が聞こえる。

トトロのどんぐりとは多分、ぼうし付きのどんぐりのことだと思う。

登録商標なのかと思うくらい、みんな同じ名前で呼ぶ。

この声が聞こえると秋の深まりを感じる。よい。

 

パパ、そんな大きな声で叫ばないといけないくらい子どもから離れないで。

「子ども見てて」っていうのは、見てるだけじゃなくて

子どもがケガしないように見ててってことだから。

何なら、お昼寝するくらい疲れさせてって願望もこもってるから。

 

虫食いのないどんぐりがいいどんぐり。

帽子をかぶってると更にポイントが高い。

うちの子は、コナラやシラカシのような細長いやつが好きだった。

帽子もすっきりしててかっこいい。

クヌギの丸いどんぐりは、もじゃもじゃの帽子がイマヒトツ。

「これは、どんぐりらしくない」と呟いて地面に戻していた。

自分らしさを追求する時代の子どもは、どんぐりにも「らしさ」を

求めるらしい。

 

小さな背中、小さな手のひらを思い出す。